任意後見契約

任意後見契約とは

 「委任者が、受任者に対し、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託し、その委託に関わる事務について代理権を付与する委任契約であって、第4条1項の規定により任意後見監督人が選任された時からその効力を生じる定めのあるものをいう。」(任意後見契約に関する法律 第2条1号)

 

ポイント

①判断能力が十分なときに、将来判断能力が低下したときのために、備える契約。(お金の管理や法的な手続に関して)

②本人が自分で、将来後見人になる人を選ぶ。

③将来代理してもらう内容も自由に決めることが出来る。

④必ず公正証書によって作成しなければならない。(任意後見契約に関する法律 第3条)

⑤判断能力が低下せずに委任者が亡くなった場合、この契約は使わないことになる。

 

趣旨

本人の意思を尊重・自己決定の尊重

 

種類

①移行型 財産管理契約(=委任契約)+任意後見契約

②即効型 任意後見契約(いきなり発行)

③将来型 任意後見契約(財産管理契約を結ばない+すぐに契約を発行させるわけではない場合を指す)

 

移行型の典型例 ※実務では一番多い

例)80代一人暮らしの女性

家族・親戚が近くにいないので将来が不安。

現在は、お金の管理も自分でしてお元気であるが、今後が不安なので行政書士といくつかの契約をしている。

 

契約内容

①見守りサービス契約

②財産管理委任契約

③任意後見契約

④死後事務委任契約

⑤遺言(遺言執行者を選任したもの)

以上の5つの契約を行政書士としている。

 

 それでは、それぞれの契約内容を見てみましょう。

契約内容の説明

①見守りサービス契約

 80代で一人暮らしとなると、終活の一つとして見守りが必要です。 具合が悪く、誰かに助けを求めようとしても動けなければ大変なことになります。

 この場合、1ヶ月に1回という見守りではなく、毎日特定の時間に電話が鳴り、それをとることで本人の無事が確認できるような自動電話型見守りサービスがベストです。

 元気なうちは煩わしいと思うかもしれませんが、心疾患等のようにいつ起こるかわからない病気も多いからです。

 

②財産管理委任契約

 終活において、財産管理はもっとも大切な行為です。

 頭はしっかりしているけど、体が不自由になり、自分で銀行に行けなくなった場合、財産管理委任契約書を持って、受任者が銀行などへ行き、本人の代わりにお金を引き出したりするものです。

 

③任意後見契約

 認知症などで判断能力が低下してきた場合、任意後見監督人選任の申し立て手続きを家庭裁判所にします。その後、任意後見人を監督する監督人が選ばれ、任意後見監督人の下で、財産管理を行うことになります。

※なぜ任意後見監督人が就くのか

 ご本人の判断能力が低下しているため、自分で後見人を監視できないからで、後見人を監督する人が必要になります。後見人が契約通り仕事をしているかをチェックしてもらうのです。

 

④死後事務委任契約

 亡くなった場合、任意後見人としての業務は本人の死亡により終了します。

 生前に結んでいた死後事務委任契約に基づき、葬儀の手配、納骨、病院への費用の支払い、施設の退去手続き、遺品整理などをする。

 

⑤遺言(遺言執行契約付き)

 生前に残していた遺言内容を実現する契約で、本人がチェックできない部分を契約で取り決めておくのです。

 

夫婦でお互いに任意後見契約を結ぶ契約をされようとする場合、

 どちらかが先に亡くなった後でも対応できるのですが、その時は残された方もかなりの高齢だと思うので、新たに契約等をすることは難しいと思います。

①の見守りサービス契約

④の死後事務委任契約

⑤の遺言(遺言執行者の選任付き契約)

をお互いの任意後見契約と一緒に結ぶことを忘れないようにしましょう。

 

意思能力が失われると

 金融機関からは「本人の意思確認ができないと定期預金の解約はできません。成年後見人をつけてください」と言われ、司法書士や不動産業者からは「本人の意思確認ができないと、不動産の売却はできません」と言われます。

 これまでは「成年後見制度」を使うしかなかった。

 できれば、元気なうちに任意後見か家族信託を結んでおけばと、後悔します。

 終活は、元気なうちに考えましょう。

 でも、終活って何をすればよいかわからないという方は当事務所にご相談ください。

認知症等になってしまった後につく成年後見制度とは

 認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、それをすることができない場合があります。

 自分に不利益な契約であっても判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあう恐れもあります。

 このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。

 ところが、3つのデメリットがあります。

①希望通りの人が選任されるとは限らず、それを理由に後見開始の審判に対して不服申し立てをすることができないこと。

②本人や家族が成年後見人に不信感を持ったとしても、また金銭的に不満を持ったとしても、本人の判断能力が回復したと認められる場合でない限り、制度の利用を途中でやめることはできません。※

③高額な報酬額(東京家庭裁判所立川支部 平成25年1月1日)

成年後見人の報酬額

月額2万円

月額3~4万円(管理財産1000~5000万円以下)

月額5~6万円(管理財産5000万以上)

成年後見監督人の報酬額

月額1~2万円

月額2万5000円~3万円

 

 こんな高い、そして融通の利かない制度を使わざるを得ない状態になる前に、終活として家族信託か任意後見を契約しましょう。

 

 しかしあらゆる手段を尽くし、それでもダメなときに初めて、成年後見制度の利用を考えたい。その場合は、できる限り、専門家が成年後見人や成年後見監督人に選ばれないようにしたい。

 それが可能になるしくみが1つあります。それが「後見制度支援信託」です。

 この制度だと、本人の財産のうち定期的な出費分だけをこれまでの金融機関の口座に残し、残りをすべて信託銀行などに預けるのです。これを使えば、専門職後見人などは選ばれず、報酬が発生しません。

 本来、後見人は本人の判断能力が回復したと認められる場合でない限り、制度の利用を途中でやめることはできません。

 しかし、後見制度支援信託を使えば、専門職後見人は、関与の必要がなくなった段階で辞任します。専門職後見人が管理していた財産は、後見人となる親族等が管理を引き継ぐことが出来るのです。

 

任意後見契約を考えているのなら、選択肢はもう一つ

 任意後見契約をお考えということは、判断能力がまだあるということですから、もう一つの選択肢、家族信託を考えてみてはいかがでしょうか。

 家族信託は、「家族による家族のための信託」です。

 信託銀行等のプロに資産を預けるのではなく、信頼できる家族・親族に財産を託し、費用を抑えた形で(プロに託すと手数料をとられます)柔軟な財産管理と資産承継を目指すことができます。

千葉県には家族信託専門士がいます。

任意後見契約対応エリア

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